1.ルアー自作初心者にバルサは不向き
ルアー自作の木材として初心者にもバルサを薦める人は多いが、実はバルサが自作初心者向けというのは間違いだ。なぜならバルサは比重が軽すぎるからである。
上記図1を見てほしい。比重が軽いという事は、浮力が強いという事。ルアー製作に使用する木材の浮力が強ければ強いほど、わずかなウェイトの偏りでも左右の浮力に大きな差が生まれ、ルアーのボディが傾こうとする力は強くなる。
つまり、浮力が強い木材の方がウェイト設定が極めてシビアだという事だ。バルサは全木材中、特に比重が軽い木材となる。そんなバルサが初心者向けなわけがない。バルサは柔らかいので加工性は群を抜いてるが、ぶっちゃけバルサの利点はそれぐらいだ。
バルサは浮力が強いのでウェイトを多く搭載しないと重心設定が難しく、さらに耐久性に欠けるため厚いコーティングが必要。そのせいでルアーが重くなるため着水音も無駄に大きくなる。バルサで作ったルアーは低比重のためアクション性に優れると言われるが、平均的な比重の木材でも良いアクションのルアーはいくらでも作れる。
そして前述したようにウェイト設定もシビアで難しい。どう考えてもルアー自作初心者向けの木材とは言えないのだ。プロから言わせてもらえば、むしろ上級者向け木材に近いと言えるだろう。
2.まずはヒノキやカツラ等からはじめよう
ルアーの自作に不慣れな人や、バルサでないといけないという人以外は、まずはヒノキやカツラといった少し重めの比重をもった木材を使って単純な形状のルアーを作ることから始めよう。
バルサの比重が約0.1~0.2なのに対し、ヒノキは比重0.4、カツラで比重0.4~0.6だ。ヒノキやカツラなら手に入りやすさもバルサと変わらない。木材は比重が重くなると堅くなる傾向にあるが、そもそも芸術品にするつもりでもない限りは、ルアーにそれほど複雑な造形は必要ない。
それに大抵の人は大量生産もしないだろうから、ヒノキやカツラ程度の加工性なら問題ではない。
そしてヒノキやカツラぐらいの木材となれば、強度があるため、バルサのようにワイヤーを埋め込む必要などない。ヒートンを後付けするだけで良いため、作業性にも優れる。
木材を使ってルアーを自作したい人は、特別な理由がない限りはヒノキやカツラで十分だ。