要約
- 鯉をルアーで釣る方法は、鯉専用のルアーを使えば簡単。
- ロッドやリールはバス用のもので十分。
- 鯉専用ルアー「リメット」シリーズを鯉の目の前に沈めるだけで釣れる。
- 食のスイッチが入っている鯉が狙い目。水底や水面、岸際で食べ物を漁っている鯉を狙うのが一番。
- 鯉は地域や個体によって性格や食性が異なるので、数匹狙って釣れなくても、場所を移動しながら食ってくれる鯉を探すのが大事。
詳細は以下参照。
目次
基礎知識編
タックル編
実釣編
1.鯉の特徴と習性
種としての特徴
鯉は世界中に分布する大型の淡水魚。日本では全国の湖沼・河川に生息。河川の生息域は、基本的に流れが緩やかになる中流域から汽水となる河口域まで。水質汚染にも強く、狭く水質の悪い市街地の水路などにも生息する。
食性は雑食性で水生植物や木の実、甲殻類、貝類などを好む。悪天候など食をやめる理由がない限りは、一日中、食べては移動を繰り返す大食家。性格は好奇心が強めだが警戒心が強く、臆病。
嗅覚と聴覚が優れ、その嗅覚は一説には犬以上とも言われる。側線の感知能力にも優れ、人間の徒歩による振動にもよく気づく。一方、視力は弱く、多少の濁りでも目の前に落ちたルアーに気づけない事がよくある。
地域や個体によって性格や食の好みが異なる
鯉の特徴として、地域や個体によって性格や食の好みが非常に異なる傾向にある。餌釣り界ではよく知られた現象で、「A川ではxという餌で釣れるが、B川ではxでは全く釣れず、代わりにyという餌で釣れる」という事が頻繁にある。
これは他の魚でも見られる現象だが、鯉の場合その傾向が強い。「鯉はルアーで釣れない」とされてきたのも、従来のルアーではこれら地域差や個体差に阻まれ、釣果が安定しなかった事が主な原因の一つだったと言える。
仲間を追尾する習性
鯉には仲間の後ろを追尾する習性もある。成魚になっても群れで行動する魚ならではの行動で、例え摂食の最中であっても仲間が自分のそばを通ると途端に食のスイッチが切れ、仲間の後を追う。
一匹が逃げ始めると周囲の鯉も釣られて移動してしまうため、鯉を釣る際は一匹の鯉も驚かさないよう注意する必要がある。
2.「ルアーで鯉釣り」人気の理由
「ライゼンバイトによる鯉専用ルアーの発売とノウハウの確立」によって、「ルアーでの鯉釣り」は今急速に広まっている。
人気の理由はどこにでもいる身近な魚である事に加え、鯉専用ルアーならば目の前に沈めるだけで釣れる手軽さ、魚が食いつく瞬間が見える興奮、国内淡水魚最強クラスの引きが味わえる楽しさなどがある。
さらに加えるならば、灰色や茶色の体色をした普通の鯉に加え、稀に遭遇する「色付き」や「色鯉」と呼ばれる野生化した錦鯉の存在だ。美しくレアな個体を釣りあげる喜びは、虜にされるほどの喜びを秘めている。
3.ルアーでの鯉釣りは誤情報に注意
ルアーでの鯉釣りはノウハウが確立されてまだ日が浅いため、知識を持たずに誤った情報を流してしまう一般アングラーの方が後を絶たない。
特に「鯉は地域や個体によって餌やルアーへの反応が大きく異なる」という事を知らず、従来のルアーを使って地元のフィールドで釣れた方法を、あたかも全国で通用する正しい知識であるかのように紹介してしまい、結果的に誤情報の流布になってしまっているケースがとても多い。
実際、ライゼンバイトが鯉専用ルアーを開発する際、国内外の知り得る限りの情報を基に、紹介されていた方法で検証を繰り返したが、ほぼ全ての方法で安定した釣果が得られないどころか、釣れさえしないものが多かった。
だからこそ、ルアーでの鯉釣りは極力メーカー公式の情報など信憑性の高いものを参考にされる事をおすすめしたい。
4.必要なタックル
必要なロッド
ルアーを使った鯉釣りは特別な釣具や高価な釣り具は必要としない。ロッドもバス用のライトまたはミディアムライトのロッドで十分だ。もしもパワー不足を感じた場合は、安価なシーバスロッドなどを使ってみよう。
必要なリール
使用するリールも5000円くらいのリールで良い。型番は8ポンド(2号)~12ポンド(3号)ラインを100m巻ける2500番ぐらいのもので十分だ。ただし、鯉は非常に引きが強いので、ドラグ性能を最低限備える大手メーカーのものを選ぼう。
必要なライン
使用するラインの号数は8~12ポンドラインがおすすめだ。ほとんどの場合8ポンドラインで対応できるが、80センチ以上の大物を相手にする場合は12ポンド以上をおすすめする。
なお、素材はナイロンを強く推奨する。鯉は引きが強くドラグでのやり取りが多くなるため、糸ヨレが頻発する。結果、ラインの交換頻度が高くなるので高価なラインはお金の浪費につながるだけ。安価なナイロンが無難だ。
5.鯉釣りにおすすめのルアー
鯉専用ルアー「リメット」シリーズ
鯉釣りはリメットシリーズだけで十分と言えてしまうほど釣れる。鯉をルアーで釣るならば、これ以上安定して釣れるルアーは現状では他にない。開発元だからという意見ではなく、釣り人としての経験からの意見だ。
当たり前ではあるが、「専用」として作られたルアーと「これでも釣れなくはない」程度の従来のルアーとでは、その釣果は雲泥の差がある。実際に使用されたお客様からも「エサやフライより釣れる」「驚くほどの反応」「釣れ過ぎる」等の声をいただいている。
使い方も簡単。鯉の目の前へと沈めるだけ。拡大しつつある鯉釣りブームの火付け役はダテではない。ただ釣れ過ぎてエサ並みに最後の手段にされている傾向もあるのがたまにキズ(笑)
ラバージグ
リメットが発売されるまでは、従来品の中で唯一比較的安定した鯉の釣果が確認されていたルアー。
ただ、ラバージグでの鯉釣りを薦めているケースの多くが自作ラバージグによるものなので、地元の鯉の習性や反応を確かめながら釣れるラバージグを自作する手間を考えれば、おとなしくリメットを使った方が早い。
また、ラバージグでの鯉釣りはリメットより釣れるサイズを選ぶ傾向にある。つまりラバージグで釣れやすいサイズがいない釣り場では威力を発揮しにくいという事になる。とはいえ、どうしてもリメットを使いたくないという方には唯一おすすめできるルアーだ。
ソフトルアー
ソフトルアーの場合、おすすめとは少し違う。というのも、ソフトルアーでも確かに鯉は釣れなくはない。ただ、ラバージグ同様にリメットがある以上は地元の鯉が釣れるソフトルアーを探す手間とお金がもったいない。
そして経験からしても、比較的釣れるソフトルアーを見つけてもリメットと比較してしまうと鯉の反応が劣る。ソフトルアーによる鯉の釣果が安定しない理由は、リメットがよく釣れる理由にもつながる機密事項となるので記述はできない。
それでも経験や試行錯誤の一環として試すのであれば、やってみる価値はある。
他のルアーをおすすめしない理由
スプーン、フェザージグ、トップウォータープラグ、ミノー、クランクベイトなど、他にも鯉が釣れたと言われるルアーは確かにある。それらをここでおすすめしない理由は、ライゼンバイトで既に試して釣果が良くなかったものや、機能的に鯉釣りにおすすめしづらいものであるからだ。
そもそもの話、それほど何を使っても釣れるのであれば、「鯉はルアーで釣れない」と言われるほどの事態にもなっていなかっただろうし、バスやナマズなどと同様に、ルアーで釣れる対象魚として書籍等で扱われていたはずである。その現実がなかったのは、従来のルアーでは難しかったからに他ならないだろう。
だからこそ、他のルアーをおすすめする事は避けたいと思う。
6.鯉釣りに持っていくべき道具
ランディングネット(タモ)
鯉を釣る上ではランディングネットはほぼ必須道具だ。なぜなら鯉は魚体に掴むところがなくてハンドランディングが難しい上、鯉を釣る際は水面まで距離がある高い足場で釣る事もよくあるからだ。
そんな状況で体重が重い鯉をロッドとラインの強度にまかせてランディングはできない。ランディングネットは財布が許す限り手に入れよう。
タオル
鯉は魚体のぬめりが強く、匂いも強い。そしてネットでのランディングになると、ルアーを外したりと魚に触れるのは基本避けられない。そんな時でもタオルさえあれば、ぬめぬめの手で道具などを触らずに済むので、タオルは持っていこう。
偏光サングラス
鯉をブラインドフィッシングで釣るルアーが無い現状から、ルアーでの鯉釣りはサイトフィッシング(見釣り)が基本となる。そしてサイトフィッシングである以上は、水中がよく見えた方が有利というわけだ。偏光サングラスは確実に戦力となるので、持っていく事をおすすめする。
7.鯉釣りにしていくべき服装
鯉を釣る際には、基本的にアースカラー系のような自然に溶け込む色の服装をおすすめする。というのも鯉は黒い人影を怖がる傾向にある。また、警戒心が高い鯉になってくると黒くなくても人影に警戒したりもする。
そんな鯉を相手にするので、自然に溶け込むような色の服装をするのが無難というわけだ。間違っても真っ黒の服装で行くのだけはやめておこう。
8.季節別にみる鯉の釣り方
春
春は鯉にとって交尾と産卵の季節。春になると浅瀬で何匹もの鯉がバシャバシャの揉みあってる事があるが、それが鯉の交尾行動だ。県によって何月かは異なるが、初夏直前までは繁殖を行っている鯉が残っていると考えていいだろう。
そんな春の鯉を釣るには、まず交尾中の鯉は避けること。交尾中の鯉はまず釣れない。反応も一切しない。それ以外の鯉であれば、春は食欲が旺盛な季節でもあるので、食のスイッチが入っている鯉も見つけやすく、ルアーを目の前に落とすだけで反応してくれるだろう。
ただ急な夏日には要注意。日光が強くなりすぎると日陰などで休息状態となり、ルアーにほとんど反応しなくなる。
夏
夏は日光が強すぎて、鯉が休息状態になりやすい季節。なおかつ初夏からは雨も増えるため、雨が降ると河川の鯉は警戒心が高まりやすく、そうなるとルアーへの反応が悪くなる。一年の中では比較的難しい季節だろう。
そんな夏の鯉を釣るには、早朝狙いが一番。暑くなり過ぎる前なら鯉も活発な事が多くルアーへの反応も良い事が多い。どうしても日中に釣りたい場合は、橋の下のような広範囲に日陰が出来ている場所を狙おう。運が良ければ食欲のある鯉がいてくれるだろう。
秋
秋は鯉にとっても食欲の秋。越冬に向けてドカ食いする季節だ。一年の中で一番鯉を釣りやすい季節といっていい。
そんな秋の鯉を釣るのは、とても簡単。秋は食のスイッチが入った鯉も見つけやすく、基本的にルアーへの反応も良いからだ。
ただ、秋は台風の季節なので雨が降ると難しくなる事もあるだろう。そして夏の暑さをぶり返す事もあり、暑くなると休息状態になる事もある。臨機応援に対応する事も求められる季節だろう。
冬
鯉は一年中釣れる魚なので、冬もルアーで釣る事が出来る。ただ冬は他の季節とは鯉の居場所が異なる事が多い。鯉は寒さに強い魚だが、それでも寒さを避けるため少しでも深い場所へと移動してしまうからだ。
そんな冬の鯉を釣るには、やはり鯉の居場所を見つける事が大事になる。同じ川でも、少しでも深くなってるところ等で鯉を探してみよう。また、鯉も体温が上がるまで行動出来ないため、鯉の体温が温まる昼頃が狙い目だ。
それでも冬は寒さで鯉の動きが鈍るため、食のスイッチが入っている鯉を見つけて目の前にルアーを落としても、他の季節よりは反応が鈍い事がほとんど。とはいえ、根気強く数を狙っていけば食ってくれる鯉が見つけられるはずだ。
また、温水の流れ込みなどに鯉が集まっていたらチャンスだ。温水域の鯉は冬でも活性が高い事が多いからだ。
しかし池や湖は中心のディープエリアに鯉が集まる事が多いため、鯉が集まる特別な流れ込みなどを見つけられないと難しいかもしれない。
9.天候別に見る鯉を釣り方
晴れ
寒い季節や涼しい季節の間は、晴れの日は鯉釣りにとって好条件と言える。特に冬は、日光浴などによって体温が温まらないと鯉たちは活発にならないので、冬の間の釣行は晴れている日を選びたいところ。
一方、暑い季節は、晴れは悪条件になりがち。日光が強くなりすぎると鯉たちが影に隠れ、休息状態になってしまう。どの季節も同じだが、休息状態になった鯉はほとんどルアーに反応しない。中には反応する個体も稀にいるが望みは薄い。
暑い季節に釣行日が晴れと分かっている場合は、早朝の涼しい時間帯を狙おう。
曇り
季節に関係なく曇りの日は鯉を釣るのに好条件と言える。ただ、あまりにも雲が厚く光量が少なくなると、水中が見えにくくなるので釣り人としては辛い。
ただ、寒い季節の「冷たい風」には要注意。浅瀬から鯉が消え、ルアーへの反応もかなり悪くなってしまう。寒くて風があるような日は風の当たらない場所を探すか、大人しく家にいるべきかもしれない。
雨
最も厄介な天候が雨だ。現状、サイトフィッシングが中心になるルアーでの鯉釣りでは、雨が降ると水中が見えづらくなるからだ。ひどい場合は釣りが成立しなくなる。
また、川の場合は、増水して流れが強くなると、鯉はカバーに身を寄せて流されないよう泳ぐ事に集中してしまう。こうなると反応しないどころか、警戒心が増して何をしても逃げてしまう。
ただし、増水は悪い事ばかりではない。雨の後、普段は水がない所が水没すると、豊富な餌を求めて鯉があがってくる事がある。それらの鯉たちは食欲旺盛になっているので、入れ食いも可能だろう。
増水するほど雨が降ったらチャンスだと思っていい。
風
雨に次いで厄介なのが風。季節を問わず、一定以上の強い風が吹いて波が起こると魚が見えなくなってしまう。
しかも、前述したように寒い季節の冷たい風は、シャローから魚を消す条件になりうる。ルアーによる鯉釣りでは、どの季節であっても風はないに越したことはないと言えるだろう。
雪
雪の日は、条件としては雨の日よりも曇りの日に近い。吹雪でもない限りは、雨よりも水中が見やすいため、釣りも成立しやすい。
それでも雪が降るほどの寒さである以上は、ルアーに対する鯉の反応はあまり期待はできない。根気が要求される釣りとなるだろう。
10.フィールド別おすすめのポイント
湖の場合
【おすすめのポイント】
- シャローフラット
- 流れ込み
- 湖に流れ込む支流の内部
- 藻類や水生植物が多いシャローエリア
広大な湖の場合、水深がある場所が多いので、鯉を視認できる場所を探すのは比較的難しい。
一番のオススメは湖に流れ込んでいる支流周り。支流の流れ込みや上流は水に動きがあり、エサになるものも多いので、最低限の深さと川幅さえあれば鯉を見られることが多い。なおかつ浅いところが多いのでサイトフィッシングに向いているだろう。
ただ、大きな支流ともなると川幅が広く、キャストが届かない場合もあるので、ウェーダーがあると便利だ。
しかし、冬になると鯉は深場に移ってしまって、上記のポイントでは見られなくなる事も多いかもしれない。そういった場合は温排水が流れ込んでいるポイントや、ある程度の深さがあって冬になっても魚が去ってしまわない支流などを探しておくと良い。
野池の場合
【おすすめのポイント】
- 護岸の壁際
- 流れ込み
- 浅瀬
- 水生植物周り
ルアーで鯉を釣ろうと思った場合、野池は湖より更に難しくなるかもしれない。というのも、野池は全体的に水深があまり変わらない事が多く、池の中心部などキャストの届かない範囲に魚が集まっている事が多いためだ。
大半の野池は濁りがあるのでサイトフィッシング的にも不向き。そんな野池でルアーによる鯉釣りを成立させるには、少しでも鯉が寄り付き、視認できるポイントを押さえておくことが大切。
野池の中でもボトムが見えるくらい比較的浅くなっている場所や、流れ込み、水生植物周りなどは、野池でも鯉を見かけることが多いポイント。
ただ、冬になると十中八九、魚が深場へ移動してしまうので、冬の野池は望みが薄いだろう。
河川(都市型河川以外)の場合
【おすすめのポイント】
- シャローフラット
- 流れ込み
- ワンド
- 落差のある落ち込み
- 植物が群生する岸際
規模に関係なく川は比較的鯉を釣りやすいフィールドだ。中でもシャローフラットやワンドでは、高確率で鯉を見る事ができる。それらのポイントに流れ込みが隣接している場合、ほぼ間違いなく鯉の姿を確認できるだろう。
ただ、川の場合は、季節の変わり目に鯉が大移動する事も多く、他の季節ではたくさんの鯉が見られた流域でも、特定の季節になると周囲数kmにわたって鯉が一匹も見られなくなるという事がある。
そうなると魚を求めて一からポイントを探し直さなければいけなくなり、忍耐を要求されるだろう。しかし季節ごとの鯉の移動先は、毎年同じ場所という事が多いので、そういった場所をいくつか見つけておくと、次の年には困らずに済むかもしれない。
都市型河川の場合
【おすすめのポイント】
- シャローフラット
- 河川合流域
- 流れ込み周辺
- ウィードが確認できる場所
- 落差のある落ち込み
都市型河川とは都市内部を流れる川の事だが、通常の川と大きく違うところは、コンクリートで固められている場所が多いため生物の生息環境としては比較的悪く、枯れて水がほとんどない所や、水質が悪いところも多い事。
そのため、魚が生息している場所と、そうでない場所がハッキリと分かれている事が多い。そんな都市型河川では、魚たちは少しでも環境のいい所を求めて動いている。
水に動きがある流れ込みや河川合流域、ウィードが確認できる場所などがいい例だ。また、都市型河川も季節間に鯉が大移動をする事が多いので、季節が変わって鯉を見かけなくなったら、以前いなかった場所でも再度確認してみると良いだろう。
水路の場合
【おすすめのポイント】
- 水路の合流地点周辺
- ウィードが確認できる場所
- 流れ込み
水路も都市型河川の一つとも言えるが、他の河川との違いは流れがほとんどない場所も多いこと。そのため、都市型河川より更に水質が劣悪なところもある。
水路で鯉を見つけるコツは、都市型河川と同じく少しでも水質が良いところを探す事。少しでも水に動きのある水路の合流地点付近や、ウィードが確認できる場所などを探してみよう。
なお、水路も季節によって鯉が大移動する場合がある。冬季は少しでも深くなっているところを探すと吉だ。
11.釣りやすい鯉と釣りにくい鯉
釣りやすい鯉
鯉は状態によってルアーで釣りやすい状態と釣りにくい状態の鯉がいる。
ルアーで釣りやすい鯉の代表は、水面や水底、岸際の壁などで食べ物をついばんでいる鯉。これらの鯉は食のスイッチが入っているため、ルアーへの反応も良い事が多い。
また、低速でゆったりと泳いでいる鯉や、ふらふらと何かを探してるような素振りの鯉、静止していても口だけパクパクとよく動かしている鯉なども、ルアーへの反応が良い事が多い。
釣りにくい鯉
釣りにくい鯉代表は、口も動かさずにボーっと一か所で静止しているような鯉だ。特に暑くなった日に日陰などで静止している鯉は休息状態になっているので、ルアーへの反応はとても悪い。
また、人間などに気づいて逃げ始めた鯉や、交尾中の鯉もまずルアーを食う事はない。
12.鯉に対するキャストやアプローチの鉄則
音や人間の気配に敏感な鯉を釣るには、キャストやアプローチ方法にも気を配る必要がある。
アプローチの鉄則
鯉を見つけて近づく時は音や振動を立てないように気を付けよう。敏感な鯉にもなると、音も出てないようなわずかな地面の振動にも気づく事がある。また、鯉は水面に落ちる人影にも敏感なので、自分の影を鯉の上に落とさないよう気を付けよう。
キャストの鉄則
鯉にルアーをキャストする時も注意が必要だ。オーバーヘッドキャストのような動作が大きいキャストは、その動作だけで鯉が驚いて逃げる事もある。
鯉に対するキャストは、ボウ&アローやピッチングのような動作の小さいキャストを心がけよう。
13.鯉を釣るためのルアーテクニック
リメットを使用する場合
リメットを使うのならば、釣るためのテクニックは簡単だ。動きなどはつけず、鯉の目の前へと自然に沈めるだけ。その際、鯉が水底にいる場合は、リメットが着底後はしっかりとポーズさせて鯉が反応するかどうかを確かめる事も大切だ。
また、高等テクニックとしては、リメットを目の前に沈めるだけでは反応しない鯉がいた場合、少し離れたところへ高度を出してキャストし、わざと少しだけ大きめの着水音を立てて、音で寄せて食わせる事も出来る。
ラバージグやソフトルアーを使用する場合
ラバージグやソフトルアーを使う場合も基本的なテクニックはリメットと同じだ。ただし、着水音には気をつけないといけない。リメットは鯉専用に着水音も調節されているが、市販のラバージグなどは違う。
そのため使用するものによっては、着水音のせいで鯉が驚いてしまうため、鯉の至近距離には落とせない事がある。
その場合は、鯉の移動方向を考慮し、着水音で驚かせないよう少し離れた先へとキャストして、鯉の移動した先でルアーに気づかせて食わせるといい。正直これは難易度が高いが、どうしてもリメットを使いたくない場合などは仕方ないだろう。
14.ファイティングのコツ
鯉の引きは国内淡水魚最強クラスであるため、抵抗して容易にコントロールできるものではない。ドラグを出して走られるのは覚悟しておこう。
そして大切なのは障害物に入り込まれたりしないようする事。そのためには可能な限り障害物の近くで鯉をかけないこと。特に80cm以上の鯉は走り始めるとまず止められない。近くに障害物があれば十中八九潜り込まれるため、鯉をかける場所は考えよう。
万が一障害物に走られたら、鯉の引きに抗うより、鯉の走る向きにロッドを引っ張ると、鯉が走ろうとする力を利用して向きを変えられる場合もあるので、一度試してみて欲しい。
15.ランディングのコツ
鯉をランディングするには、よほど足場が水面に近くない限りは、ランディングネットの使用を推奨したい。
鯉の魚体には掴めるところがなく、重量が重いため、わずかな高さの足場でもハンドランディングやロッドでのランディングが出来ないからだ。そして間違ってもエラは掴まないこと。鯉の自重でエラが裂けてしまうためだ。
また、ランディングは鯉が十分大人しくなってからにしよう。鯉は持久力が半端ではなく、瞬発力もトルクもあるため、バスやナマズのように強引にランディングしようとするとラインブレイクやロッドの破損につながる。必ず大人しくなるのを確認してからランディングしよう。
あとがき
本稿では「鯉をルアーで釣る方法」を詳細に記してきたが、どうだっただろうか。
ルアーによる鯉釣りは、やってみる価値のある魅力がある。息を潜めて近づき、狙った場所へと確実にキャストし、鯉がルアーに食いつくところを見たら、それだけで楽しさを理解してもらえるだろう。
そして、あの強烈な引きとドラグの音。それを超えて釣りあげた時の興奮。釣り人なら是非一度味わってみて欲しい。皆様の健闘と釣果を祈っている。