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チャビングは嘘と間違いだらけ

Posted by 加藤展幸 on

現在徐々に人気が高まりつつある「チャビング」という釣りですが、人気が出るに従って、チャビングという釣り用語について誤解が広まりつつあります。

『チャビング』は日本で生まれた新しい造語ではない

まず、『チャビング(Chubbing)という言葉は、カワムツ(Dark chub) やオイカワ(Pale chub)などの英名の共通点であるChubをとって、ingをつけた日本で生まれた造語』と広めている方がいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。

そもそもチャビング(Chubbing)という言葉は、日本で使われ始めるよりずっと以前から海外に存在しており(Winter Chub Fishing On Small Rivers - AnglersNET 2009) (Digital Diary: Chubbing at last - fishing magic 2003他)、語源は海外で人気の釣り対象魚でありウグイの仲間であるチャブ(Chub、正式にはEuropean chub) の名前にingをつけたものです。ですから”日本で生まれた新しい造語”ではありません。

この事は、日本でチャビングという言葉を広めた第一人者の一人である、カワムツ釣査隊の創始者の方にも確認をとっており、”海外にチャビングという言葉がすでに存在していたことを知らずに使い始めた事”を認める発言をされておられましたのでインスタグラムDMにて。会話ログを証拠として保有)、日本で生まれた造語というのは間違いです。

そして、カワムツ釣査隊の皆さんが広めるよりずっと前から海外では使われていたのですから、一部のブロガーが言っている「チャビングという言葉はカワムツ釣査隊が作った」というのも間違いです。

カワムツやオイカワをルアーで狙う釣りは新しい釣りではない

また、『チャビングとは、カワムツやオイカワをルアーで狙う新しい釣り』などと説明している方もおりますが、カワムツやオイカワをルアーで狙う釣り自体は、新しい釣りというわけではありません。あくまでチャビングという名で呼ばれ始めたというだけで、カワムツやオイカワのルアー釣りは、遥か以前よりありました。

実際に私自身も20年以上前からカワムツやオイカワをルアーで狙った釣りをしており、調べれば他にも文献はいくらでも見つかります。(例:豊田直之ほか 1999 釣り魚カラー図鑑 p26)

海外のチャビングと日本のチャビングについて

なお、前出のカワムツ釣査隊創始者(雨男さん)のYoutube動画等では、「海外のchubbingとは違った日本独自の釣りスタイル」などと説明されておりますが、この説明にも少し語弊があり、”カワムツ・ヌマムツ・オイカワのみを対象にしているのは、あくまでカワムツ釣査隊としての独自ルール”といった旨を雨男さんがおっしゃっておられましたので(インスタグラムDMにて。会話ログを証拠として保有)、海外のチャビングと日本のチャビングが全く違うものという意味ではありません。

※海外のチャビングは、主にチャブ(正確にはEuropean chub)と呼ばれるウグイの仲間を対象にした釣りのこと。日本のチャビングは、カワムツ(Dark chub)やオイカワ(Pale chub)などを対象にした釣りのこと。魚種の違いはあれど、海外のチャビングも日本のチャビングも同じチャブ類を狙った釣り。

なお、チャビングの対象魚についてウグイを含めた説明をされている場合は、海外のチャビングも含めて広義的に説明していたりします。(ただし、前出のヨーロピアンチャブはウグイ亜科というだけであって、日本のウグイとは別種です)

海外文化を広める時はちゃんと理解した上で広めよう

日本人だけではありませんが、人間は海外の文化を取り入れる際、あいまいな理解のまま広める悪い癖があります。また、海外文化から派生した自国独自のものを考え、作り上げる際、海外文化を基にしているにもかかわらず、海外の情報を事前に調べ上げずに勝手に作り上げてしまい、事を不要に複雑化してしまうのも人間の悪い癖の一つです。

今回のチャビングの件に関しても、チャビングという言葉が海外で既に存在していた事を知らずに、「日本人が作った造語」「日本人がつくった日本独自のもの」と勝手に広めることは、本場の方々に対してとても失礼な事です。

今では国際的な競技になっているパルクールというスポーツが日本に入ってきた際も、日本人はパルクールの定義をよく調べることもせず、十分に理解しようともせず、勝手な解釈で進めようとした際に、本場フランスの方々を激怒させ、トラブルになりかけたこともあります。(私はパルクール経験者で、当時、私自身が日本とフランスの仲介を行ったので事実です)

日本人は海外事情や英語に疎い人が多いため、本場海外のことも調べずにいい加減な知識のまま広めてしまうという事が非常に多いです。結果、日本のルアーフィッシング界でも誤った知識や誤解が修正困難なほど多いのが現状です。曖昧な理解のまま広めるのではなく、本場である海外の人や文化に敬意を払い、広めるならば正しく広めましょう。

参考文献

Winter Chub Fishing On Small Rivers - AnglersNET

Digital Diary: Chubbing at last - fishing magic

豊田直之ほか 1999 釣り魚カラー図鑑 p26

Mashed Bread For Chub - FishingMagic Forums

カワムツ - ライトタックルに魅せられて…

 注意事項

なお、日本におけるチャビング自体が明らかに事前調査や情報の精査が行われないまま広められた節がございます。本稿に関して反論・異論などを述べられたい方は、英語の文献を理解するに足る最低限の英語力をもって、ご自身でしっかりと時間をかけてお調べになり、情報の精査を行った上で反論等を行うようご注意願います。

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