1.消費者の数が少ない
日本のルアーの値段が高い一番の理由は、消費者の少なさです。第二次釣りブーム真っただ中の90年代半ばには2000万人規模とまで推測された国内の釣り人人口。しかし2017年には640万人程度にまで低下しました(出典:「レジャー白書2004」「レジャー白書2020」公益財団法人日本生産性本部)。
しかもこれはあくまで大雑把な推定値であるため、釣りを趣味としている人の人口は、実際にはもっと少ないと見られます。さらにこの640万という数字は、釣りジャンル問わずの人口なので、ルアーを使用するルアーフィッシングに限定すれば、その数はさらに少なくなります。
一方、ルアーの値段が日本の3分の1程度しかしないアメリカの場合、2017年度の釣り参加人口は推定4900万人(出典:2018 SPECIAL REPORT ON FISHING)。仮にルアーフィッシングに限定したとしても、市場の規模=消費者が桁違いなのです。
そんな消費者が少ない中で開発費や製造費、広告費といったコスト以上の売り上げを得ようとすると、現状のような値段設定になってしまうわけです。
2.ブランディングの一環
日本のルアーの値段が高いもう一つの理由があるとすれば、ブランディングの一環です。つまり、値段設定によるブランドとしての印象操作です。
人間は高い値段の商品を高級品として捉え、高級品を売るブランドを高級ブランドとして捉えます。逆に安い値段の商品は安物、安物を売るブランドを安物ブランドとして捉える傾向にあります。
多くのルアーメーカーは一流としての印象を与えたいはずですから、安易に安くできないというわけです。
とはいえ、単に「見栄」のためだけなら、消費者の事を考えて価格を抑えていただきたいところですね。キャスト一投でなくなるかもしれない消耗品が1つ2000円弱はいくら何でもとりすぎですから。