目次
1.冬でもナマズは釣れる
「冬は水温が低下してナマズが動かなくなり、釣れなくなる」と誤った情報が発信されてきたせいか、冬はナマズが釣れないと思われている方が多いようだが、実はそれは間違いだ。
実のところ、冬の間でもナマズが活発に活動する事が近年の研究によってわかってきている (小河川における超音波テレメトリーを用いたナマズの行動解析 森晃ほか 2013)
釣りを科学するルアーブランド「ライゼンバイト」が上記論文を基に事実確認としてフィールド調査を行ったところ、確かに冬の厳しい寒さの中でもナマズが活動しているのが確認された。
しかも、想像していたよりも遥かにナマズたちは活発に活動しており、ルアーを果敢に追ってきてバイトする個体が何匹も見られた。
冬でもナマズを釣る事が出来るのはもちろん、釣りとしても十分楽しむ事が出来る。
2.冬のナマズ釣りは日没から3時間後までが勝負か
冬のナマズを釣る上で一番大切なことは、時間帯選びである。これを誤ると、どれだけ釣れる釣り場やルアーを選んでも空振りに終わる可能性が高くなる。
前出した論文でも示されている事だが、夜行性と言われるナマズにも行動パターンがあり、平均的に見て10月~1月までの寒冷期は、日没から1時間後頃からの2時間の間(例えば日没が17時なら18時頃~20時頃の間)が最も活発に活動しているというデータがある。
活発に活動しているデータがあるからといって、必ずしもその時間帯が釣れやすいとは言い切れないが、実際ライゼンバイトが行った調査でも、冬であってもこの時間帯はナマズが活発に活動しており、釣りやすい事も確認できた。
また、ベストシーズンの初夏から秋でも深夜になるとナマズの活性が低下する傾向がある事は以前から釣り人によって報告されてきたが、冬季はこの「低活性化する時間帯」が早まる傾向があり、それについてもライゼンバイトがフィールドワークで確認済みだ。
つまり、冬にナマズを釣りたいならば、日没から3時間後までの時間帯が勝負で、寒さやナマズの活性など複合的に考えると一番釣りやすいのは、日没から1時間経った頃からの2時間の間という事だ。
3.冬に水流が弱らない川を選ぶと良い
多くのナマズアングラーは河川でナマズを釣っていると思われるが、時間帯と同じくらい大切なのは、冬に水流の弱らない河川選びだ。
ナマズの活性は河川の水流の強弱に影響を受ける傾向があり、水流が弱まるとナマズの活性も低くなる傾向が見られる。
そして水路を含め日本の河川の多くは、「田畑への水の供給源」として利用されている所が多いため、冬になると供給が減り(もしくは無くなり)、水量は減少、水流も弱まってしまうことが少なくない。
つまりは、冬にナマズを釣りたい場合には、冬季の間でも水流が弱らない河川を選ぶ事がとても大切ということだ。
また、冬に水流が弱まってしまう河川でも、雨などで水流が強まるタイミングがあれば狙ってみる価値はあるだろう。
4.ポイント選びは他の季節と変わらない
時間帯や行くべき河川も分かったところで、次はポイント選びだが、ポイント選びは基本的に他の季節と変わらない。
河川の堰(せき)の水が流れ落ちている場所、流れ込み、河川や水路の合流地点、そしてこれらの地点にあるオーバーハングや各種障害物周りなど、定番ポイントで問題ない。
冬なので、温排水などが流れ込む場所があれば理想的なのは言うまでもないだろう。
5.冬はスローに誘うのが基本中の基本
冬といっても初冬から数えれば期間は長く、初冬頃ならば比較的活性の高いナマズと出会える事もそれなりにある。
ただ、寒さが本格化してきて水温が10度未満になってくると、比較的寒さに強いナマズでも、流石にルアーへの反応が鈍い個体が大多数になってくる。また、冬季はルアーの存在を感じただけで逃げる個体も増える。
辛うじて食いついてくる一部のナマズたちの反応を見ている限りでは、ルアーを追わないのでなく、寒さで活動が鈍って追いたくても追えないといった様子。反応速度も他の季節より遅く、一瞬口を開いて何とか噛みついてやろうとするだけの個体も多い。
もちろん中には果敢にルアーを追う個体もいるが、全体的にはやはり低活性なので、いずれのルアーを使うにしても、なるべくスローに誘うのが基本だ。
6.冬でもトップで釣れないわけではない
ナマズ釣りと言えばトップウォーターでの釣りが人気だが、冬でもトップで釣れない事はない。実際、熱狂的なナマズアングラーは冬でもトップで釣果を出している。
ただ、真冬になると前述した通りルアーを追えないほど活性が低い個体も多いので、真冬にトップでナマズを釣りたいならば、ナマズがルアーを追いかける必要がほとんどないくらい、極力浅い場所だと釣果につながりやすいだろう。
7.冬眠中のナマズを釣る方法があるというのは恐らく誤情報
一部の釣り人が囁いている、「冬眠状態のナマズを釣る方法がある」というのは、恐らくは勘違いによる誤った情報だろう。
彼らの言い分では、リアクションやワームで釣れると言うのだが、そもそもこれらの主張をしている一部の人たちの記事等を拝見している限りでは、釣り方こそ説明しているものの、その方法はあくまで平凡なもの。
しかも冬季は他の季節以上に活性のある個体と無い個体が混在しているにもかかわらず、その方法で釣りあげたというナマズがここで言われる冬眠状態のナマズであったかどうかを確認している様子がまるでない。
つまりは内容から察するに、恐らくは冬に釣れたから「冬眠中のナマズを釣った」と主張しているだけのようだ。というより、先ずそのような状態のナマズを平凡な方法で釣ったとは到底思えないのだ。
ルアーが体に触れても動かない
冬季に活動がほぼ停止しているナマズは、代謝を抑えるために活動を極端に控えているためか、もしくは変温動物であるがゆえに極度の寒さに体を動かせないのか、体の上に塵がつもるほど長い間休止状態にある事も珍しくなく、ルアーを魚体に接触させても反応しないことさえある。
筆者も仕事の関係上、いろいろな事を試してきたが、ここまで活動を抑えた生物がルアーに反応するとは到底思えない。上述した通り、恐らくは勘違いからの主張なのだろうと思う。
冬でもナマズ釣りに挑戦してみよう
以上が冬にナマズを釣るための基本だ。確かにベストシーズンに比べれば多少難易度は上がるかもしれないが、「冬はナマズのオフシーズン」と決めつけてしまわず、冬でもナマズ釣りに挑戦してみよう。
バス釣りでもそうだが、色々な季節の魚を釣ってみて初めて見えることが必ずある。そして、そこで培った知識やテクニックは必ず他の季節などで活かされる。
だからこそぜひ冬のナマズ釣りにも挑戦してみよう。魚も釣れて腕もあがって万々歳だ。
※本稿には研究段階の内容も含まれます。また、魚の生態は各地で異なることがあり、ここに書かれている事が全てではありません。予めご了承ください。